HomeSitemap

 ※本ページは広告による収益を得ています。

太陽のなかに住むカラス

カラス Photo by hashmil

 中国の漢族の神話。

 尭(ぎょう)帝の時代、十個の太陽が一斉にみな空に出たため、地上の草木が焦げて枯れ始めた。そこで、帝は弓の名人羿(げい)に太陽を射落とすように命じた。羿(げい)は空に向かって矢を放ち、九個の太陽のなかにいる九羽のカラスの体を射抜いた。カラスたちはみな死に、地上に落ちた。こうして太陽は一個だけになり、地上の人々は焼死を免れた。

 

 古来、中国では、太陽の中に三本足のカラスが住むと考えられ、また、太陽はカラスによって空を運ばれるとも考えられていました。
 カラスの足を三本足とするのは、陰陽五行思想によるものだと思われます。陰陽五行思想では、二は陰数で太陽にふさわしくなく、陽数である三こそがが太陽にふさわしいと考えられます。

 しかし、そもそも、なぜカラスが太陽と結びつくのでしょうか。

 熊野が誇る世界的博物学者・南方熊楠も、太陽とカラスの結びつきについて、太陽黒点がカラスの黒に似ているからで、そのうえカラスが定まって暁を告げるからである、と述べています。

◆ 参考文献

大林太良・伊藤清司・吉田敦彦・松村一男 編『世界神話事典』角川書店
南方熊楠『南方随筆』沖積舎

動物いろいろ